スコット・ピルグリムVS. 邪悪な元カレ軍団 (2010):映画短評
スコット・ピルグリムVS. 邪悪な元カレ軍団 (2010)ライター2人の平均評価: 4.5
現実世界と繋がる通過儀礼としてのゲーム対戦。
ゲームの映画化は数あれど、ゲームあたりまえ世代の“世界の見かた”をリアルに示した映画の嚆矢か。M.セラ扮する主人公はそこそこなバンドのベーシスト(作曲はベック、音楽監督はN・ゴッドリッチ)。彼に襲いかかるのは一目惚れした女性の元カレ軍団(元カノも双子もいる)。格闘ありスケボーあり音楽対決ありのバトルは最大公約数的な対戦ゲームの仕様、擬音や小ネタCGも多用して高速かつ濃密だが、体裁をひっぱがせば純情一途なド青春の恋バナだ。ただ納得できないのは惚れた相手ラモーナより中国系の今カノ(エレン・ウォン)のほうが(性格的にも)ずーっと可愛いこと。E.ライトだってそっちに萌えてるふうなのが可笑しくもある。
エドガー・ライト監督の音楽的映像の技が炸裂!
エドガー・ライト監督は、長編第1作「ショーン・オブ・ザ・デッド」の時から、映像をリズムで描く。音楽を演奏するように、動きと編集で映像を奏でるのだ。その技を「全編に楽曲を流し被写体の動きも同期させる」という手法で極めたのが「ベイビー・ドライバー」、別の手法で追求したのが本作。その手法は「ビジュアルで音楽を奏でる」というもの。実際に音楽も流れるが、それよりも色と形と動きが音楽なのだ。そのビジュアルに、ビデオゲームやコミックの擬音文字やコマ割りが使われてどこまでもPOP。オマケに今見るとキャストが超豪華!クリス・エヴァンスにブリー・ラーソン、M•E•ウィンステッドにA•ケンドリック、A•プラザも!