進撃の巨人 ATTACK ON TITAN (2015):映画短評
進撃の巨人 ATTACK ON TITAN (2015)ライター2人の平均評価: 3.5
東宝映画の看板を背負った男たちの意地とプライド
人気原作とはいえ、このご時世、幻の中島哲也版を経て、人喰い巨人を描いた大作が完成したこと自体、奇跡に近いだろう。残酷描写も『寄生獣』と同じPG12にして、西村映造が攻めており、井口昇らが演じる巨人もかなりキモい。さらに、クライマックスでは来年公開の樋口真嗣版『ゴジラ』に繋がるであろう、東宝映画の看板を背負った男たちの意地とプライドが炸裂する。とはいえ、原作にないラブシーンなどのドラマ演出のユルさや、完全に空気な清野菜名など、動ける女優を集めながらムダ遣いという問題が発生(武田梨奈のアクションはdtvのスピンオフで!)。高橋みなみの意外な熱演と、とにかくスゴいらしい『後篇』への期待で☆おまけ。
原作ファンの予想や期待はどのように裏切られるのか?
難しい線を狙っている……というのが第一印象。原作の改編を恐れない点は素直に認めるとして、原作のファンが重要と考えている細かな設定の端折りが、どう受け入れられるか?
気になったのは、エレンの怒りの沸点が“母親を目の前で殺された”前提がある原作より低いこと。必然的にエレンへの感情移入が原作好きには難しくなる。「後編」に、この改編の理由があることを期待。
ともかく、巨人の出現シーンはかなりのインパクトがある。壁を破壊し、人間を食いちぎるそれは、子どもの頃に見た怪獣映画を思い出させ、『サンダ対ガイラ』的クリーチャー・ビジュアルのの異様さも手伝い、ゾクゾクさせられた。この巨人は確かに怖い。