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欲望のバージニア (2012):映画短評

欲望のバージニア (2012)

2013年6月29日公開 116分

欲望のバージニア
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ライター2人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 4

相馬 学

何にも縛られないアウトロー像にシビレる

相馬 学 評価: ★★★★★ ★★★★★

禁酒法時代に密造酒を作って売る三兄弟。揺るぎのない、その姿勢をとおして自由を求める人間の精神が見えてきて、気持ち良い。彼らの戦いぶりを反映したバイオレンスも容赦なく、男心を大いに刺激される。70年代の東映映画、たとえば梅宮辰夫の『不良番長』的な(そこまで不真面目ではないが)、突破の美学。見終えたとき、ボンデュラント兄弟のひとりになったかのように肩で風切る自分がいる、アウトサイダーの魅力にあふれた快作。首を切られても不死身のトム・ハーディが頼もしくもイカす。

この短評にはネタバレを含んでいます
なかざわひでゆき

アメリカの原風景を繊細なタッチで捉えた映像美

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

禁酒法時代のアメリカを舞台に、密造酒製造で生計を立てる3兄弟が悪徳取締官の横暴に立ち向かう。生きるため違法行為に手を染める貧しい庶民と、そんな彼らの弱みにつけ込んで私腹を肥やす権力との壮絶な戦いを描く作品だ。アメリカの牧歌的な原風景を繊細なタッチで捉えた映像は、テレンス・マリックの「天国の日々」を彷彿とさせて美しい。と同時に、血生臭い暴力の応酬が主人公たちの生きる時代と社会の過酷さを雄弁に物語る。トム・ハーディやジェイソン・クラーク、ジェシカ・チャスティンらの演技も素晴らしい。それだけに、悪徳取締官レイクスを必要以上に荒唐無稽なキャラとして描いたことが惜しまれる。確かに憎々しいことこの上ないのだが、おかげで作品の持つ説得力や詩情性が損なわれてしまったと思う。

この短評にはネタバレを含んでいます
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