トリプル9 裏切りのコード (2015):映画短評
トリプル9 裏切りのコード (2015)ライター2人の平均評価: 3.5
キャスティングの妙“だけ”光ってます。
『ザ・ロード』『欲望のバージニア』と、MV出身のセンスやキャスティングの妙やらで目が離せないジョン・ヒルコート監督作。今回も主演のケイシー・アフレックに対し、ベテラン刑事のウディ・ハレルソンやロシアンマフィアの女首領のケイト・ウィンスレット、チョイ役でガル“ワンダー・ウーマン”ガドットを据えるなど、絶妙なキャスティングが魅力的だ。ヒルコートの重厚な演出に、彼らは応えるものの、いかにも新人な脚本家の詰めが甘さが目立ち、各エピソードがとっ散らかってる印象強し。そこがB級らしくもあるが、ヒルコートとの相性の悪さは一目瞭然。ただ、「ウォーキング・デッド」の舞台、アトランタならではのカットは笑えます。
アメリカ地方都市の荒廃を垣間見る壮絶バイオレンス
ロシアン・マフィアに雇われた強盗グループが、警察の緊急コードを悪用して政府施設の襲撃を試みるものの、次々と予期せぬ事態に見舞われていく。
生活苦から犯罪に手を染める元軍人や汚職警官、住宅地を縄張りにするストリートギャングたちのネットワーク、富を牛耳るマフィア。壮絶なバイオレンスの応酬を軸にしながら、現代アメリカの荒みきった地方都市の絶望的な日常が浮かび上がる。リアルすぎる生首にも驚愕。主人公たちの辿る悲惨な末路も「盗みのプロ部隊」みたいで皮肉だ。
豪華なキャスト陣も要注目。中でもノーマン・リーダスとアーロン・ポールが兄弟役を演じているのは、海外ドラマ好きなら思わずニンマリだろう。