ヒックとドラゴン 聖地への冒険 (2019):映画短評
ヒックとドラゴン 聖地への冒険 (2019)ライター2人の平均評価: 4
有終の美を飾った成長物語
“人間とドラゴンの共存”というテーマを軸に、シリーズを追うごとに、CGなどの作画技術が向上。一方で、キャラのルックスから武装・戦闘スタイルなどのディテールまで変化し、いろんな意味で成長物語になっていたところが興味深かった『ヒクドラ』。1作目で自身の左足を、2作目ではバイキングの長の父親を失うといった主人公・ヒックの“行動に伴う代償”は、ジェイク・ギレンホール激似となった完結編でも、しっかり描写する。3部作の特有の罠にハマらず、常にハイクオリティをキープし、有終の美を飾っている。ドリームワークス・アニメの中でも異色作だっただけに、ディーン・デュボア監督の次なる展開が楽しみだ。
ドラゴンに乗ってどこまでも飛んで行きたくなる
このシリーズはいつも、主人公とドラゴンが空を飛ぶシーンが気持ちいい。それはドラゴンの動きに生き物ならではの柔軟性があるからだけではない。名カメラマン、ロジャー・ディーキンスの視覚コンサルタントによる古代バイキング世界の海と空が、どこまでも大きく美しく広がるからだけではない。毎回の物語で、主人公が既成概念を打ち破り、そこから生じる開放感、晴れやかさが、大空の飛行という形で描かれているからだ。その多幸感を、エンドクレジットに流れるシガー・ロスのヨンシーの歌声が増幅してくれる。
人間とドラゴンが共に幸せになる方法を模索してきた三部作の完結編が、最後にどんな世界を描くのか。見逃すわけにはいかない。