かしこい狗は、吠えずに笑う (2012):映画短評
かしこい狗は、吠えずに笑う (2012)再評価・カルト化されるべき“怪物”
ポン・ジュノ風なタイトルだが、多感な女子の揺れ動く心情を描いた青春ドラマから一転、不穏な空気が流れ始めたかと思えば、一気に壊れたジェットコースターと化す超展開。赤と青のアイテムに、「人を操るのは恐怖と利益」「見た目に騙されちゃダメ」といった意味深なワード、さまざまな考察ができるラストに至るまで、練りこまれた脚本もスゴい。そして、広角で捉えた食卓シーンなどで女優陣の魅力を存分に引き出した演出と、制作費150万円の自主とは思えぬ、クオリティの高さに驚かされる“日本版『乙女の祈り』”。再評価・カルト化されるべき一本だが、そんな“怪物”を放った渡部亮平監督の商業デビュー作も待ち遠しい。
この短評にはネタバレを含んでいます