セイフ ヘイヴン (2013):映画短評
セイフ ヘイヴン (2013)一抹の寂しさを禁じえないハルストレム最新作
ラッセ・ハルストレム監督が「親愛なるきみへ」に続いて2度目に手がける、ニコラス・スパークス原作のラブロマンスである。
女性を中心に日本でも一定のファン層を獲得しているスパークス作品。今回は一応ミステリー仕立てになっているものの、お馴染みのコテコテに古風でベタな純愛メロドラマは健在だ。そう言う意味では、ファンの期待を裏切らない作品と言えるだろう。
とはいえ、逃亡するヒロインを執拗に追う刑事の情緒不安定ぶりで早々に謎の核心は読めてしまうし、予定調和と綺麗事ばかりが並べられた愛と葛藤のドラマにも何ら深みはなし。最後のどんでん返しは確かに意表をつくものの、やり口としては強引かつ卑怯な印象も否めず。感動よりも失笑が先に立ってしまう。
ノースカロライナの牧歌的な大自然を捉えた映像の美しさはハルストレム監督ならではの筆致だが、「ギルバート・グレイプ」や「サイダーハウス・ルール」などの名作群と比較してしまうと、やはり一抹の寂しさを禁じえない。