私の、息子 (2013):映画短評
私の、息子 (2013)L.ゲオルジウは流石の名演だが。
親離れ子離れできない相互依存が続く、生活力のない息子とその母親の話。どこの世界にもありそうな病理で、それがベルリン映画祭二冠を獲得した要因だろうが、いささか普遍的に過ぎるきらいがある。息子の陳述書を無理矢理に改竄しようとする母を、私欲のため黙認する警官など金金金なルーマニア社会への批判も、これまた程度の差こそあれどんな国にもあるはず。ただ最後の最後に母親がバックミラー越しに見るものが、被害者家族に面と向かって詫びを言う度胸もないお子ちゃまの背を伸ばすきっかけになるかどうか(原題は「胎児の体勢」)……。なんせエンドロールに流れるのは「素晴らしい創造物」なる母から子への溺愛歌なのだ。
この短評にはネタバレを含んでいます