誰のせいでもない (2015):映画短評
誰のせいでもない (2015)
ヴィム・ヴェンダース監督は3Dをこう使う
「3D」という手法には何ができるのか。ここにまた一つの新鮮な使い方がある。
この映画は窓の映画だ。登場人物たちがある閉ざされた部屋にいて、その部屋には窓があり、窓だけが明るく、窓の外には広大な世界が広がっている。そういうシーンが何度も登場する。場面によって、その部屋のサイズと窓のサイズが変化していく。その外に広がる世界の様相も変わっていく。その部屋と窓のありようは、そこにいる人物の心理状態を形にしたものだ。
そして監督は、その部屋にいる人物から窓までの距離と、窓の外の世界の広がり、そのそれぞれの奥行きの深さを表現するために「3D」という手法を用いている。
この短評にはネタバレを含んでいます