わたしのハワイの歩きかた (2014):映画短評
わたしのハワイの歩きかた (2014)ライター2人の平均評価: 2
スクリューボール失格。
冒頭から女性上位のマシンガン・トーク、前田弘二監督は前作『婚前特急』を観てもスクリューボール・コメディに対する憧れがあるのだろうし、今回の榮倉&高梨も超特急の台詞回しは健闘しているのだが、いかんせん作品自体にスピード感がまったくない。これじゃ前作と同じ轍、である。せっかくの高速台詞を驚くほど平気に寸断し、とりわけ何も起こらぬただ停滞した時間をそこかしこに現出させる無神経な演出は、仕事でハワイに出張しながら呑んでるだけで何もしない(!)主人公のあり得なさ以上に理解できない。そんな中で浮き出るのが好調・池松壮亮。アドリブっぽい居酒屋シーンに演技勘の冴えが伺えるが、その彼の扱い方もまたヒドくて…。
意外にも共感ポイントの多いリゾート観光ムービー
仕事に恋愛に不満を抱えた若い女性編集者が、取材に訪れたハワイで様々な出会いを経験して成長していく…という筋書きだけで、だいたいどんな映画か見当がついた方、はい、それ恐らく大正解です(笑)。
現実的にあり得ないだろ、というツッコミどころや強引な展開は多々あるものの、「銀の匙」に「そこのみにて光輝く」と秀作の続く高田亮の脚本は、アラサー世代特有の迷いや焦燥を嫌味のない楽天的ユーモアへと昇華させており、意外と共感できる点も少なくない。
基本は同世代の働く女性層向けのリゾート観光ムービーだが、肩の力を抜いた大衆娯楽映画としても良心的な作り。ヒロインたちの女子会ノリな友情ドラマも嫌いじゃない。