マイティ・ソー/ダーク・ワールド (2013):映画短評
マイティ・ソー/ダーク・ワールド (2013)ライター3人の平均評価: 3
加速するロキ至上主義
時空を無視して移動しまくり、歴史的建造物を大破しようがお構いなしと、もはや観客にツッコむ気力も与えない大雑把な作りは相変わらず。だが、兄弟の確執という古典的なテーマと、ドSキャラ全開のロキの魅力で今回も乗り切る。それでも続編への期待は十分。壮大な「アベンジャーズ」プロジェクトの゛つなぎ゛としての責務は全うしたと言えるだろう。
それにしてもロキ役のトム・ヒドルストンは、『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライブ』のナルな吸血鬼などキワモノキャラでこそ一層輝きを増す。ジョニー・デップのくたびれ感が半端ない今、後継者は彼しかいない。ただしハリウッドで使い古されないことを願うばかりだ。
ヒーローも霞む(?)トム・ヒドルストンのカッコ良さ
闇の力で全宇宙を支配しようとする太古の魔族ダーク・エルフとの激闘を描いたシリーズ第2弾。とはいえ、やはり今回も宿敵である弟ロキとの確執が主軸となる。
監督が変われども軽い印象はそのまま。「アベンジャーズ」を経てキャラと人気を確立したロキ=トム・ヒドルストンの危険なカッコ良さもさる事ながら、物語の鍵を握る存在としてナタリー・ポートマンの役割も重要度を増し、ただでさえ地味なクリス・ヘムズワースは少々お気の毒。ダーク・エルフのデザインも意外にイカしているしね。
ひとまずイベント映画としては十分に楽しめる作品。お約束の次回作への伏線も用意されているので、エンドクレジットは最後まで見届けよう。
徹底した軽さが信条
トム・ヒドルストンをロキ役にキャスティングしたことがシリーズ最大の勝利とでも言わんばかりに、ロキの活躍が際立つ第2弾。ソー以下脇役もキャラ立ちしていて楽しいし、観終わった後には何も残らないが、瞬間的に気晴らしができる映画を観たい時もある。そう思って観れば、これはこれで十二分!
ただし、日本人にとっては馴染みの薄いアメコミの映画化、しかも続編ともなれば、当たり前だが最低限の前提が頭に入っていないと厳しい部分はある。今後続々公開されるアメコミ関連作全てにおいて同じことが言えるだろう。このジャンルは売る側の長期スパンでの地道な啓蒙活動が必須だ。