花宵道中 (2014):映画短評
花宵道中 (2014)![花宵道中](https://img.cinematoday.jp/a/T0018953/_size_640x/_v_1414058184/main.jpg)
ライター2人の平均評価: 3.5
活き活きした遊女の描写は、豊島監督の真骨頂
ドラマ「マジすか学園」で女子高生たちの対立と友情を描き、AKB48の個性を引き出した豊島圭介監督だけに、今回も活き活きとした吉原遊女たちの描き方がじつに巧い。しかも、五社英雄作品の大ファンで知られる友近が女将役という、確信犯的キャスティングに驚きながらも、やっぱり巧い。そして、何よりかつての五社監督、宮尾登美子作品じゃないが、エロ目的で観に行った中高生があまりにしっかりした仕上がりゆえ、帰り道に反省したくなる力作になっているからスゴい。間違いなく代表作となった安達祐実や必ず出演作に爪痕を残していく小篠恵奈など、凄みある女優陣に対し、半次郎役の淵上泰史が押され気味なのはしょうがない…。
名子役は名女優となった
下心満載で観てもいい。だが、ファーストカットの安達祐実の美貌に、自身の不埒さを恥じるのではないだろうか。憂いを秘めた表情それだけで、これから始まる女郎の運命を予想させる。物語は吉原でよくある悲恋かもしれないが、これはまぎれもなく安達祐実の役者として、そして女のしての成長を堪能する映画である。
製作は東映ビデオ。『鬼龍院花子の生涯』の夏目雅子を彷彿とさせる啖呵切り有り、『極道の妻たち』のかたせ梨乃&世良公則の塗れ場に負けぬサービスシーンも有る。親会社が失いつつある東映イズムを、系列会社が引き継いでいるかのようだ。その世界に女将役の友近がハマっている。目指せ!平成の山田五十鈴。