太秦ライムライト (2013):映画短評
太秦ライムライト (2013)時代劇の伝統へのリスペクトは伝わる
時代劇人気が衰退していく中、撮影所の片隅に追いやられたベテラン斬られ役専門俳優の哀愁、そしてそんな彼の意志を受け継ぐ若い世代の熱意を描く。
自身をモデルにした福本清三のストイックな佇まいの美しさは流石だし、彼を慕う若手女優・山本千尋の見事な立ち回りと精悍な美貌は、まだ少々ぎこちない演技力を補って余りあるくらい魅力的。時代劇の伝統をリスペクトする作り手の気持ちも伝わる。
ただ、映画会社もスターも全てが架空の設定なため、どうしても空々しさが拭えないのは日本映画ならではの弱点。たとえマイナスイメージを含むフィクションであっても、本人出演や実名出しが許されるハリウッドとの違いを痛感させられる。
この短評にはネタバレを含んでいます