世界一美しいボルドーの秘密 (2013):映画短評
世界一美しいボルドーの秘密 (2013)ライター2人の平均評価: 3
『エグザイル/絆』も引き合いに(笑)。
美酒の秘密を解き明かすドキュメンタリ…かと思えば全然違う(笑)。原題は「赤い妄執」、おそらく「赤」はワインの色と中国共産党の両方を意味しているだろう。長年最大の顧客であったアメリカが金融危機で没落、代わりに浮上したのが中国の富裕層。日本のバブル期を思わせもするカネに任せた買いまくりっぷり (その頂点が大人のおもちゃ屋だったりする)に、シャトーやワイン評論家は「センスを共有する昔ながらの顧客が手を出せない価格になった」「ワインは高級バッグとは違う」などと下等扱い丸出し。しかし自国産で勝負し、国際的な賞も勝ち取る中国だが、そのテロワールがウイグルや内モンゴルというのも、どこまでもややこしいのだ。
何でもコピーする中国、でもワイン愛好家のガッツは認めます
今や投機対象であるワインをめぐるドキュメンタリーは、1本千円弱のテーブルワイン愛飲派には遠い世界のお話。とはいえ、興味深いエピソードが次々と明かされていくので、目はスクリーンに釘付け。特に印象深いのが中国の富裕層の熱狂ぶり。億単位で箱買いし、高額なワインを競り落とす。味わうというより物質欲を満たしているとしか思えない富裕層を前に「利益か、シャトーの格か?」と悩むワイン醸造家の攻防が世界経済で巨大化する中国資本の姿とかぶる。さらに興味深いのが中国内でのワイン造り。ボルドーと気候が似た場所を探してシャトーのコピーを建設して、と貪欲に追求。権威あるワイン賞も受賞したワインのテロワールは果たして?