岸辺の旅 (2014):映画短評
岸辺の旅 (2014)とにかく、小松の親分さんが…!
完璧に計算された構図を生かしたシネスコサイズ、ダグラス・サーク監督作を意識した感情的な音楽の使い方など、初挑戦部分もあるメロドラマであり、ラブストーリーだが、どこからどう見ても黒沢清監督作。浅野忠信演じる主人公も、どこか『アカルイミライ』に通じる怖さがある。しかも、柄本明以上のインパクトを放つ小松政夫の新聞配達員をはじめ、常に不気味な空気感を残しつつ、しっかり体温を感じさせるキャラクター描写はもちろんのこと、深津絵里と蒼井優が対峙するワンシーンは圧巻の一言だ。浅野主演のロードムービーということで、確かに『風花』を彷彿させるが、こちらも勝るとも劣らない仕上がりである。
この短評にはネタバレを含んでいます