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ショート・ターム (2013):映画短評

ショート・ターム (2013)

2014年11月15日公開 97分

ショート・ターム
(C) 2013 Short Term Holdings, LLC. All rights reserved.

ライター2人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 4

森 直人

今の時代、人が人に教えるということのリアル

森 直人 評価: ★★★★★ ★★★★★

生々しい。10代の更正施設を舞台とする米国のドラマだが、承認欲求が満たされず自己肯定感を持てない子供たち――この群像は現代人の「生き難さ」を集めたコアな縮図のようだ。

本作の特質は子供たちと共に、現場で働く若い職員の葛藤を映し出すこと。核となるのは自分も壮絶な過去を持つグレイス(B・ラーソン)。大人が子供を導くには「痛み」の共有が必要だが、同時に教える側が自らの内なる傷を乗りこえねばならない。そこでようやく「負の連鎖」が断ち切られる――これが問題意識の核心ではないか。

その困難な闘いを抱えるグレイスの強さと繊細さ、彼女の周りの優しく勇敢な同僚たちも胸を打つ。今の時代に理想としたい大人の姿。

この短評にはネタバレを含んでいます
山縣みどり

お涙頂戴にしなかった監督の慧眼と客観性がまた良し!

山縣みどり 評価: ★★★★★ ★★★★★

問題を抱えた児童を預かる施設を舞台にした物語なので、お涙頂戴のメロドラマになる可能性もあったが、監督はニュートラルな視線をキープ。その距離感が奇しくも主人公である世話係グレイスと傷ついたティーンたちのそれに通じ、我々も一定の距離を置きながら物語を追えるのがいい。この距離感は登場人物に共感できないから生まれるのではなく、厳しい現実に精神的に叩きのめされないための命綱のようなものかも。グレイスが同じ境遇のティーンと出会ったことで心の奥に隠していた傷と向き合う展開は想像がつくが、彼女たちの傷の深さを理解できるといったら嘘になる。ただ見終わったとき、他人に優しくしたいという思いがこみ上げてきた。

この短評にはネタバレを含んでいます
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