刺さった男 (2012):映画短評
刺さった男 (2012)邦題はインパクトあるけれど。
奇才イグレシアにしては至極まっとうというしかない作品。落下事故で床の鉄柱にアタマ串刺しになった一発屋広告マンが、自分の絶体絶命状態を“市場価値あり”と判断し、コケにした業界や銀行に復讐する(才能なき者の逆恨みともいえるが)…という話だが、所詮「刺さりました」というだけの一発ネタ、本人は動かせば死ぬから画面も変化が乏しくドラマティックにならない。マスコミの狂奔やお役人や学者のエゴもほとんどクリシェ。冴えない主人公にとって唯一の「人生の輝き(これが原題)」である妻(S.ハエックだもんなぁ)がまた清廉潔白で拍子抜け。イグレシア映画だから夫の企みに乗じて邪悪な銭ゲバに豹変すると期待していたのだが…。
この短評にはネタバレを含んでいます