エレナの惑い (2011):映画短評
エレナの惑い (2011)夫よりバカ息子! お腹を痛めることの重みを思い知る
『父、帰る』で父親と息子の関係にメスを入れた監督の新作は、母親と息子の濃密な(エロい意味ではありません!?)関係に焦点を当てている。台詞は最小限だが、風景に登場人物の心情を重ねる映像は相変わらず雄弁だから、初老の夫婦が飲み込む思いまでもが伝わってくる。日常の些細な出来事が予想もしなかった結果を生む展開も映像も脚本も素晴らしく、人間ドラマとしては秀逸なのだが……。個人的にはヒロインのエレナの心情にまったく同調できず、「いや〜、それは間違ってるよ」と画面に突っ込むこと多々。お腹を痛めて生んだ息子がどんなボンクラでも許すのが母の愛なのか? “獅子の子落とし”という言葉が頭に浮かびました。
この短評にはネタバレを含んでいます