劇場霊 (2015):映画短評
劇場霊 (2015)ライター2人の平均評価: 3
ぱるる、絶叫クイーンとしての素質アリ
舞台監督への枕営業でヒロインの座を獲っていく若手女優や、ネタバレ部分に関与している女性の描写が、あまりに時代錯誤な感じがしないでもないが、良くいえば楳図かずお作品っぽいノスタルジーに溢れている。つまり、『リング0バースデイ』に似てなくもないのだが、ついに女優の道に開眼したか、塩対応で知られる島崎遥香が登場シーンから目を引き、これまで見たことのない迫真の演技を披露する。『女優霊』のインパクトに劣るのは当然だが、同じ制作チームで手塚理美が戦犯だった『クロユリ団地』に比べれば、しっかりホラーとして成立。だが、劇場霊というよりは、すでに韓国ホラーの邦題でもある“人形霊”の方が相応しいといえるだろう。
イタリアン・ホラー風のスタイリッシュな映像は見どころ
新作舞台劇のリハーサル中にスタッフや主演女優が次々と怪死。急遽代役に抜擢されたヒロインは、小道具に使われている呪われた人形が犯人だと気付き、さらなる惨劇を阻止すべく奔走する。
正直なところ脚本は弱い。設定はかなり強引だし、セリフは不自然で説明臭いし、若手女優の野心やイジメが渦巻く少女漫画的な舞台裏の人間ドラマも陳腐。役者陣の演技も玉石混合だ。
その一方、アルジェントの『サスペリア』、マリオ・バーヴァの『モデル連続殺人』に『リサと悪魔』など、往年のイタリアン・ホラーを彷彿とさせるスタイリッシュなビジュアルは大きな魅力。人形の造形や動きもなかなか不気味だ。中田秀夫監督のホラー愛は十分伝わる。