恋人たち (2015):映画短評
恋人たち (2015)7年待った甲斐があった!
シンプルで美しいタイトルながら、3人のメインキャラは決して美しいと言えない中年男女。しかも、それを演じるのは無名の新人俳優だけに、このご時世、かなり挑戦的だ。ただ、だからこそ恐ろしいまでのリアリティを放ち、観る者は終始胸ぐらをつかまれた気持ちになっていく。3人に対して、厳しい現実を叩きつけながらも、橋口監督の目線は常に優しく、そんなドラマを彩る明星の奏でる旋律も優しい。完璧すぎた『ぐるりのこと。』には今一歩及ばないが、「7年待った甲斐があった」と思わせる長編新作である。それにしても、自身の写真をラベルにした胡散臭い「美女水」を売りさばくスナックのママを演じる安藤玉恵は、ハマりすぎ!
この短評にはネタバレを含んでいます