カイト/KITE (2014):映画短評
カイト/KITE (2014)ライター2人の平均評価: 2
明確な方向性が見えてこない近未来アクション
原作アニメを知らないので、どれほど忠実に実写化されているのかは定かでないが、本編の仕上がりを見る限りでは、タランティーノ的なカルト系B級路線を目指したのか、それともゴダールの「アルファビル」的なアート系エンタメ路線で行きたかったのか、方向性がイマイチ掴めない中途半端な印象だ。
下手にCGやワイヤーワークを使ったりせず、低予算の身の丈に応じたリアリズム志向の撮影スタイルに徹した点は悪くない。ただ、演技力にだいぶ難ありの主演インディア・アイズリーはコミコンによくいる素人のコスプレ女子にしか見えず、先が読めすぎるストーリー展開にも全く捻りなし。もっと荒唐無稽に走るべきだったかもしれない。
ウーヴェ・ボールに続くバッド・テイスト監督の誕生?
日本アニメの実写化と聞くだけで仕上がりは想像つくし、サミュエル・L・ジャクソンが出演していたらなおさら展開が読める。予想通りに進む展開に「ほ〜ら、私が言った通り」と居直るしか無い? とはいえ時折チラリと見える露悪趣味的な演出が映画を“愛すべき駄作”たらしめていて、完全否定できない。ラルフ・ジマン監督の作品はこれが初めてだが、大物スターを使ったB級バッド・テイスト映画の異才ウーヴェ・ボールに続く存在になれるかも。下着姿も披露するほど頑張ったインディア・アイズリーちゃんは『アンダーワールド』シリーズからの格落ち感が否めないけど、演技力がイマイチ。だからこそ、B級女優としての今後に期待したい!