THE COCKPIT (2014):映画短評
THE COCKPIT (2014)そこら辺の部屋から生まれるアワー・ミュージック
高い方法意識がむしろ平易さを用意している。内容はアパートの部屋でヒップホップクルーが一曲仕上げるまでの過程を捉えただけ。一人がサンプラーでトラック作りに勤しみ、暇な面々はレッドブル飲んでウダウダしたり。そんな調子で音楽が立ち上がってくる面白さや歓びを、約1時間で観る者に共有させるのだ。
パッと連想したのはリタ・ミツコのレコーディング風景を含む『右側に気をつけろ』等のゴダールだが、日常スケッチの親密さが基調なのは『やくたたず』という青春映画から歩みを始めた監督・三宅唱の特質か。またスタンダード画面によるコクピットの心地良い狭さは、『Mommy/マミー』の緊迫したスクエアサイズと対になると思う。
この短評にはネタバレを含んでいます