クーデター (2015):映画短評
クーデター (2015)ライター2人の平均評価: 4
オーウェン、頑張れ!……と、ついつい応援
冒頭の血生臭い首相暗殺シーンにグイッと引き込まれたら、あとはジェットコースター状態。異国のクーデターに翻弄される外国人一家のサバイバルに目を引き寄せられる。
突然、周囲が敵だらけになってしまう軍事クーデターという設定の妙。土地勘のない異国を逃げ回らねばならないハンデ。それらがうまく絡み合い、緊張を高める。
オーウェン・ウィルソンふんする主人公は、妻やふたりの娘を守って逃げなければならず、ともすれば足を引っ張る妻子の存在がスリル発生装置として機能。無責任なダメ男を演じることの多いオーウェンだからこその危うさも効いている。目の離せないハイテンション・スリラー。
ただならぬ緊張感が襲いかかる!
旅行者がいつ巻き込まれてもおかしくない話だけに、確かな演出力が求められるが、そこはエレベーターを舞台にしたシャマラン原案の『デビル』で、珍妙な密室劇を巧く調理したジョン・エリック・ドゥードル監督。今回もかなりの緊張感が張りつめるなか、『エネミーライン』以来、まったく笑いを取らないオーウェン・ウィルソンの熱演、とにかくアヤしいピアース・ブロスナンやイライラさせてくれる娘のキャラなども相まって、かなりの拾いモノなサバイバル・スリラーに仕上げた。内容的に『ホテル・ルワンダ』と比較もしたくなるが、こちらはあくまでもエンタメ。フランス人カメラマン、レオ・インスタンが捉えたアジア特有の空気感も印象的だ。