俳優 亀岡拓次 (2015):映画短評
俳優 亀岡拓次 (2015)![俳優 亀岡拓次](https://img.cinematoday.jp/a/T0020302/_size_640x/_v_1450785937/main.jpg)
「俳優」は自意識ではなく、仕事である。
今作は天才・横浜聡子の第二章の始まりとの印象を与えるだろう。『ジャーマン+雨』『ウルトラミラクル~』の凶暴な原始的エネルギーの放射から一転、俳優・安田顕の魅力を撮る事に集中している。
映画についての映画という点で、前哨戦は2011年の短編『真夜中からとびうつれ』(『亀岡』の原作者・戌井昭人も出演)か。今回はマドンナへの不器用な恋を描く『男はつらいよ』的輪郭に、濃厚な個性はシュールな珍味として効かせるバランス。
現実と虚構をうろうろしながら、淡々と“自分の仕事”を日々こなす亀岡=安田はマイナーコードの色気たっぷり。過去作の横浜はまさに「作家」だが、この映画からは「職人」の美しさが響いてくる。
この短評にはネタバレを含んでいます