僕だけがいない街 (2016):映画短評
僕だけがいない街 (2016)ライター2人の平均評価: 3
主演を喰うほどの子役の演技
時間が巻き戻ってしまう“リバイバル”現象により、頭や心も29歳だが、体は10歳という主人公が事件に立ち向かう設定は、まるで「名探偵コナン」のようであり、原作人気が高かったのも頷ける。だが、ユルい演出ゆえに緊迫感に欠け、モノ足りない映画オリジナルのラストなど、原作には遠く及ばず。しかも、エピソードを削りながら、ダイジェスト感を強くしたことから、キャラの言動が不可解になっている点は問題だろう。ただ、主演を喰ってしまうほどの子役、鈴木梨央と中川翼の演技だけは別格。それにしても、藤原竜也の母親にまったく見えない石田ゆり子。まるでリバイバルしたような、あの若さはなんとかならなかったものか?
子供たちの織り成す痛々しくも力強いドラマが見どころ
自分の意志に関係なく周りの時間が巻き戻ってしまう。そんな不可解な体験をする主人公が現在と過去を行き来しながら、殺された母親を救うために18年前の未解決事件の謎に迫っていく。
身近で起きる事件を防ぐために時間が戻るらしい、という以外に説明を一切しないところがいい。見ている側も最初は唐突過ぎて戸惑うが、次第に感覚として受け入れることが出来るよう描かれていく。まあ、若干のツッコミどころはあるのだが。
そして、本作の見どころは謎解きよりも幼い子供たちが織り成す過去のドラマにあるといえよう。地域社会で見過ごされる幼児虐待。力なき者たちが団結し、大人の責任が問われる。このパートが突出して素晴らしい。