ベテラン (2015):映画短評
ベテラン (2015)ライター2人の平均評価: 4.5
財閥の横暴、許すまじ! 韓国庶民の声を代弁した快作!
ナッツ姫リターン事件のような不始末も多い財閥だが、韓国経済を動かす存在の糾弾はタブーらしい。庶民が反感を覚えるのも当然だ。本作はそのタブーに軽やかに切り込み、金に物を言わせる財閥の横暴を暴露する。役人を買収し、札束でビンボー人の頬をひっぱたき、スポンサー様だからと女優を妊娠させ(しかも妊娠した女性の腹部を蹴る!?)……。そんな巨悪を“ボロは着てても心は錦”的な正義の刑事が追い詰める図式は痛快で、韓国内で大ヒットしたのも納得。ファン・ジョンミンの泥臭さが不器用な正義漢役に最適だし、コミックリリーフのオ・ダルスの息の合った掛け合いも楽しい。製作のCJも財閥だが、現場に口を出さなかったのが偉い。
怖いモノ知らずの野獣刑事VS財閥御曹司
「ナッツリターン事件」で、日本でも知られるようになった現代韓国の財閥問題に鋭く切り込んだ社会派アクション…とはいえ、監督はジャッキー世代で香港映画をこよなく愛するリュ・スンワン。『ベルリンファイル』での反省を踏まえてか、泥臭いアクション&ドラマ路線に戻ってきた! 妻とのエピソードも印象的な野獣刑事を演じるファン・ジョンミンの軽やかな動きもいいが、ユ・ヘジンとオ・ダルスの圧倒的な顔面力にはかなわない。また、懐かしさも感じる痛快すぎる勧善懲悪の展開や、濃ゆいメンツで構成された、『ポリス・ストーリー』的捜査隊など、まるで原作コミックがあるようなエンタメ性の高さ。現地でメガヒットを記録したのも頷ける。