マクベス (2015):映画短評
マクベス (2015)ライター2人の平均評価: 3.5
やはりポランスキー版には敵わなかったか
「マクベス」の映画化といえばオーソン・ウェルズ版とロマン・ポランスキー版が有名だが、野蛮な中世暗黒時代を再現した暗澹たる世界観、随所に垣間見えるスコットランドの原風景の神秘的な美しさなど、総じてポランスキー版をお手本としているようにも思える。
さらに、大規模な合戦シーンをはじめとするアクション、テレンス・マリック風のリリカルなイメージを交えながら、愚かな野心によって狂気へと追い詰められるマクベス王の破滅が描かれていく。
マイケル・ファスベンダーとマリオン・コティヤールも好演。ただ、ビジュアルのスタイルに比重を置きすぎて、肝心の中身が散漫になってしまった印象も否めない。
風吹きすさぶ曇天の荒野のマクベス
荒地のマクベス。常に嵐の直前のように雲は厚く低く、日差しは大地まで届かない。地には枯れ草しかなく、冷たい風が吹きすさぶ。そうした荒れ果てた土地にマクベスが立っている。その地には彼だけではなく、さまざまな人々が立ち、論じ、戦う。男たちの顔は髭と泥で覆われ、その姿は微光の中で影と化して、誰が誰なのか判別がつかない。本作は、シェイクスピアの名作悲劇をあえて野外で撮影し、こうした光景として描き出す。そこでは、誰もがマクベスであり得る。そして誰もがマクベス同様、荒野を風に吹かれながら歩き続ける。本作の監督と主演2人は新作「アサシン クリード」で再度結集、次はどんな世界を見せてくれるのか気になる。