SCOOP! (2016):映画短評
SCOOP! (2016)ライター2人の平均評価: 4
どこかフッ切れないことでのモヤモヤ感
映像&音楽センスの良さは相変わらず、冒頭からエロアリ、活劇アリと、まさにエンタメを追求する大根仁監督の真骨頂だろう。また、どれだけゲスな発言&行動をしようが、カッコ良過ぎる福山雅治だが、決して監督との化学反応は悪くない。ただ、随所に監督が謙遜していると同時に、ムリに大衆を意識し過ぎるところが気になる。これが中盤以降強く感じる“どこかフッ切れてないことでのモヤモヤ感”に繋がるのだが、深夜ドラマ「モテキ」が、映画『モテキ』になったときの残念さに近い。また、主人公とヒロインが師弟関係を超え、恋愛に発展する展開を、原作まんま撮りたかったのは分かるが、そこに至る過程が描き切れてないのも悔やまれる。
全ての日本映画がこれくらい面白かったら最高なのになあ!
某素人系AVレーベルをモロ彷彿させるタイトル&ロゴにまずウケたが、中身はめっちゃ高水準な「ニッポンの娯楽映画」。土台は原田眞人『盗写1/250秒』ながら、総体として「80年代邦画」の大根仁リミックス――あの時代の不良性や色気を丸ごとポップに復活させた趣。初期セントラル・アーツ的な優作の匂いを醸し出す福山雅治に加え、絶品のリリー・フランキーは『野獣刑事』でシャブ中を怪演した泉谷しげると重なる。情報要素は伊丹十三イズム!
大根仁のコミカルなハードボイルドは『湯けむり』『まほろ』『リバースエッジ』とTVでの蓄積があり、「仕事」という主題がせり上がってくるのも彼の定番となった。川辺ヒロシの音楽も◎!