ディバイナー 戦禍に光を求めて (2014):映画短評
ディバイナー 戦禍に光を求めて (2014)ライター2人の平均評価: 3
ゴッタ煮感満載なラッセル・クロウ初監督作
ピーター・ウィアー監督、メル・ギブソン主演の青春映画『誓い』で知られる「ガリポリの戦い」にまつわる物語だが、オーストラリアとトルコ、双方の立場を描くラッセル・クロウ監督の視点に、本作が遺作となったアンドリュー・レスニーの大胆なカメラワークが大作感を醸し出す。行方不明の息子探しを軸に、強さを秘めた未亡人や、複雑な立ち場のイギリス人中佐との交流など、胸を打つ人間ドラマから一転、いきなりドンパチ・アクションを盛り込むサプライズに仰天! あまりに後半が駆け足すぎるため、消化不良に思えてしまうが、スター俳優によるサービス精神溢れる監督作という意味では、『不屈の男 アンブロークン』にも通じるものもアリ。
雄大な風景の中、人間たちが懸命に動く
いつも風景が大きい。主人公が暮らすオーストラリアでも、彼が行方不明の息子を探すトルコでも、空は大きく大地は広く、人々は大きな風景の中で走り回る。オーストラリア人が多数戦死した第一次世界大戦のトルコ・ガリポリの戦いの後、さまざまな傷を負った人々を描くが、何かを糾弾する物語ではない。それは主人公が水脈を探す職人、ディバイナーであるせいでもある。画面はシネマスコープ。撮影はオーストラリア出身、「ロード・オブ・ザ・リング」3部作、「ホビット」3部作のアンドリュー・レスニー。監督はこれが第1作のラッセル・クロウ。この堂々たる作風は、初監督作とは思えない。