LOVE【3D】 (2015):映画短評
LOVE【3D】 (2015)ライター2人の平均評価: 4
反逆精神溢れる3Dアート・ポルノもボカシの餌食に…
激しくも情熱的な男女の恋愛を、その別れから出会いまでを遡るようにしながら3Dで描いていく。しかも、そのものズバリの本番セックス満載で。
なにかと映像表現が保守的になりがちな昨今。かつてのポルノ・ブームがまるでウソのよう。でもみんなヤってるんでしょ!?ってな具合に生々しい性をスクリーンにぶちまける。セックスは普遍なる愛の営み。まさしくNO LOVE NO SEX。反逆児ギャスパー・ノエだからこその、大いなる愛の賛歌だ。
とはいえ、悲しいがな日本ではこれでもかとばかりの修正入り。飛び出す射精シーンがボカシの向こうで泣いている。これじゃあまるで不発弾じゃねえか、と言わんばかりに。
性愛の記憶が激しいほど苛烈な、ダメ男の煉獄
前作『エンター・ザ・ボイド』の頃から“次は3Dでポルノを撮りたい”と明言していた奇才ギャスパー・ノエ。その言葉どおり、冒頭から激しい性描写が繰り出される。
とはいえそこはノエ作品、フィジカルだけでなくメンタルもマッパ状態で、見る者の内面に鋭く切り込んでくる。全編を貫く主人公の男の独白によってあらわになるのは、終わった恋への強烈な未練。セックス描写が続くほど最初な感じた過激さは薄れ、彼の内なる熱情が際立ってくる。
ぶっちゃけ、この主人公は身勝手で好人物とは言い難いが、過去から脱却できないそのダメっぷりの痛々しさが切なくも写る。ひたすら激しい愛と性の記憶、それは彼の煉獄でもあるのだ。