君がくれたグッドライフ (2014):映画短評
君がくれたグッドライフ (2014)ライター2人の平均評価: 3.5
死を題材にしつつも、テーマはまさに人間賛歌
不治の病で余命幾ばくもないドイツの男性が、法律で尊厳死の認められたベルギーを目指し、最愛の友人や家族を伴って人生最後となる自転車の旅に出る。
同じ病に冒された亡父の悲惨な最期を知るからこそ、自らが納得できるタイミングで人生を終わらせようと決意した主人公。その事実を知らされた仲間や弟の様々な反応、彼の意思を尊重しつつも納得しきれない妻や母親。旅の途中で起きる悲喜交々の人間ドラマを通じて、生きることの意味が問われていく。
誰の身にも訪れる死を題材にしつつ、テーマはまさに人間賛歌。必ずしも尊厳死が正解だとは思わないが、しかし選択肢の一つとして否定できないことは確かだろうと考えさせられる。
悲しい“死”に偏らない、充実した“生”の物語
尊厳死という題材は議論を呼びそうだが、肝心なのはそこではない。尊厳死という道を選んだひとりの人間の人生が、いかに充実していたか? それこそがドラマの鍵だ。
死別というゴールに対して主人公を愛する者たちの心に痛みが走り、それが切なく響くものの、ウェットに偏らず、腹の底から笑いあえる仲間との最後の旅は時にユーモラス。親友の死後もひとりひとりの人生が続くことを見据えている点に好感を覚えた。
キャラはいずれも印象深いが、いつも仲間を笑わせるスキンヘッドのお調子者が思いやり込みでイイ味を出している。彼がいるといないとでは、映画の印象がかなり違っただろう。