白い帽子の女 (2015):映画短評
白い帽子の女 (2015)ライター2人の平均評価: 3.5
ブランジェリーナ、最後の共演作を見逃すな!
結婚2年を過ぎ、突然に離婚となったブランジェリーナ夫妻がハネムーン中に製作したのがこの映画。問題を抱えた夫婦が心の傷にそれぞれに向き合う姿を描く大人のラブストーリーで印象的なのは、問題を処理する際の男女の差だ。夫が外に発散させるのに対し妻は内に秘め続けるので、男と女の間に横たわる深い川は埋められないかもと不安になる。役者同士のニュアンス演技で夫婦の心理を描く展開やカフェ主が発する哲学的なセリフが60〜70年代のヌーベルヴァーグっぽいし、新たなチャレンジはアンジーの監督としての成長の証である。ハリウッドのロイヤルとまで言われた夫妻の最後の共演作なので、見逃してはもったいない。
まるで'70年代フランス映画のようなアンジー監督最新作
'70年代初頭の南仏、美しくも寂しげな真夏の避暑地、カーステレオから流れてくるジェーン・バーキンの気だるい歌声。このオープニングから一気に引き込まれるアンジェリーナ・ジョリー監督の新作は、スタイリッシュで官能的で、しかし切なくも狂おしい愛の物語である。
さながらルネ・クレマンかジャック・ドレーかといったアンジーの演出は、まさしく’70年代フランス映画の趣き。シャンタル・ゴヤやシェイラなどフレンチ・ポップスの選曲も抜群にセンスがいい。
ノスタルジックでアダルトな雰囲気を愉しむ映画。ブラピ&アンジー扮するすれ違い夫婦の絆の再生を描くストーリーは、タイミング的にちょっと皮肉かもしれないけれど。