オールディックフォギー 歯車にまどわされて (2016):映画短評
オールディックフォギー 歯車にまどわされて (2016)色気と才覚があればこの乱世を駆け抜けられるはず
ポーグスを熱聴していた世代としては即効で身に染みる6人組バンド、オールディックフォギー。監督・川口潤はブッチャーズの傑作ドキュメンタリー『kocorono』に続き、サヴァイヴという主題、日本論の色彩と共に彼らを追いかけるが、もっと楽観的な視座でバンドの「これから」を讃える。
本作の魅力はフロントマンの伊藤雄和が「役者やのぉ」的強度のあるお兄さんである事が大きい。例えば彼がタクシードライバーに扮するフィクションパート。セクシーな野武士のような伊藤が車内では制服=社会のコードを身に纏い、しかし最後には“ある人物”の姿に変身。これは「ガキの遊び」で人生を貫く覚悟を決めた美しきドン・キホーテの歌だ。
この短評にはネタバレを含んでいます