西遊記 孫悟空 vs 白骨夫人 (2016):映画短評
西遊記 孫悟空 vs 白骨夫人 (2016)ライター2人の平均評価: 3.5
東洋の美が極まる中華版「スノーホワイト」
華麗なVFX映像、超絶美貌の悪女、原点は伝統的民話、と共通点が3つ揃って、これはもう、香港・中国合作の中華版「スノーホワイト」。とくに、風景、建造物、衣装、クリーチャーの形まで、すべてに東洋的なデザインを取り入れた美術に魅了される。龍も虎も、やっぱり東洋人が描くとこうなるという形。その美学は造形だけではなく、動きにも反映されている。人間の形をした妖怪が宙に浮かぶ時のふわりとした浮遊感、魔物が纏う衣の形が雲や霞などの自然物と区別がつかなくなっていくときの変化の過程には、ハリウッドのVFXとは違う何かがある。魔物を演じるコン・リーの人間離れした美しさも「スノーホワイト」の魔女に負けてない。
CGも特殊メイクも飛躍的に進歩した「西遊記」シリーズ第2弾
中華圏では記録的な大ヒットとなった「モンキー・マジック 孫悟空誕生」の続編。いよいよ孫悟空と三蔵法師が出会い、猪八戒や沙悟浄を従えて天竺への旅に出る。
前作はとにかくCGの出来の悪さ、特殊メイクのセンスのなさがあまりにも目立ち、中国にとってハリウッド式娯楽大作はまだまだ時期尚早かと思われたが、今回はあの激安感がまるでウソのような仕上がり。たった2年でこの劇的な進歩は驚きだ。
「アルゴ探検隊の大冒険」から「ハリポタ」シリーズまで、様々な名作へのオマージュを散りばめた賑やかな演出も手馴れたもの。コン・リー扮する妖怪・白骨婦人の妖艶な魅力も際立っており、伝奇ファンタジー的な面白さもある。