闇金ウシジマくん ザ・ファイナル (2016):映画短評
闇金ウシジマくん ザ・ファイナル (2016)ライター3人の平均評価: 4
素晴らしいゾ! ヤング・ウシジマくんたち
現代社会の闇をとことんあぶり出し、過激描写にも果敢に挑む俳優陣の熱演も魅力の本作。
高橋メアリージュンに門脇麦など注目の若手俳優をいち早く起用するキャスティング力は際立っていたが、
そんな本シリーズらしいファイナルに興奮。
ウシジマくんたちとライバル・鰐戸三兄弟の12年前の因縁を再現するのは狩野見恭兵ら超フレッシュな若手たち。
堂々たる芝居で、誰一人として違和感なし。
狩野らの本気を引き出したのは、山田たちの存在や山口雅俊監督の手腕あってこそだが。
数十年後、彼らの幻の共演作となるかも?
個人的にはかつては同じ事務所だった安藤政信と山田の、いろんな大人の事情を乗り超えての共演にジ〜ン。
すべての因縁がひとつに繋がる、最高にドラマティックなウシジマ
原作の「ヤミ金くん編」をベースに、丑嶋社長の知られざる過去が明らかになっていく『クローズZERO』<<<『岸和田少年愚連隊』な泥臭いエピソードの数々…。「最終章」に相応しい、これまでと違ったドラマティックな展開に胸アツだ。山田孝之VS安藤政信という、新旧スターダスト個性派対決はもちろん、あの独特な口調を完コピし、14歳のウシジマを演じた狩野見恭兵の圧倒的な存在感がスゴい。母親役の平栗あつみを絡めた柄崎との食事シーンは、シリーズ屈指の名シーンといえる。「カイジ」の「地下王国」を思い起させる「純愛の家」の描写もなかなかだが、男ならハードボイルド臭漂うラストカットにしびれること間違いなし!
ヤンキー青春ドラマ的な魅力も加わったシリーズ最終章
『闇金ウシジマくん』の劇場版シリーズも遂に最終章。今回はいわゆる貧困ビジネスの凄惨な裏側と、過払い金返還商法のカラクリを暴きつつ、ウシジマくんの中学時代にまで遡る因縁の物語を絡め、ヤンキー青春ドラマ的な魅力も加味している。
ついに明かされる謎多きウシジマくんのルーツ。ある意味で世間を悟ってしまったウシジマくんの過去と現在を交錯させながら、少年時代と変わらず純粋な幼馴染・甲本の哀しい運命を対比させることで、現代社会の生きづらさをハードな筆致で浮き彫りにしていく。
一歩間違えれば破綻しかねない、複雑に入り組んだ構成の脚本だが、山口雅俊監督は見事にまとめあげている。シリーズ屈指の出来栄えだ。