マッド・ドライヴ (2015):映画短評
マッド・ドライヴ (2015)ライター2人の平均評価: 3.5
音楽業界版『トレインスポッティング』×『アメリカン・サイコ』
自らの成功のためには、たとえ友人でも“手段”を選ばない男の爆走噺だが、ニコラス・ホルト×ジャンキーXLありきの安易な邦題にダマされるな! 完全にホルト版『トレインスポッティング』×『フィルス』であり、『アメリカン・サイコ』。そういう意味では既視感がないわけではないが、舞台が『トレスポ』公開の翌年、レコード会社のA&Rが第二のオアシス、スパガ発掘に必死だった97年のUK音楽シーンなのが肝。当時のヒット曲中心に、実名&業界あるあるトークをブッ飛ばしてくれる。しかも、ロザンナ・アークエットなど脇役陣のキャスティングの妙など、WOWWOWプレミアと特集上映ではもったいないほど、拾いモノ感に溢れている!
英国音楽業界のバチアタリたちが疾走する
この疾走感、バチアタリ感、ブラックな笑いは、ハンパない。音楽業界版「ウルフ・オブ・ウォールストリート」な悪漢映画だが、舞台は97年ロンドン、音楽は「マッドマックス 怒りのデス・ロード」のジャンキーXL、主演はウォーボーイズのニコラス・ホルト、なのでテイストは別。会話中に実在のミュージシャンのネタ続々なのもニヤリ。原作小説「Kill Your Friends」の作者で脚本も書いたジョン・ニヴンは音楽業界体験者で、実体験が元ネタ。監督は「Holy Flying Circus」で「モンティ・パイソン/ライフ・オブ・ブライアン」の79年公開時の騒動を撮ったオーウェン・ハリス。やっぱり笑いが英国流。