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14の夜 (2016):映画短評

14の夜 (2016)

2016年12月24日公開 114分

14の夜
(C) 2016「14の夜」製作委員会

ライター3人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 4

中山 治美

”性春”はほろ苦い思い出と共に

中山 治美 評価: ★★★★★ ★★★★★

『百円の恋』の脚本を担当した足立紳の監督・脚本作。
前作は安藤サクラの熱演あってこそだったが、
今回は実体験も交えた青春物語とあって、脚本を書く筆が走ってる。
軸となるのは性欲に踊らされる少年たちの冒険譚。
”おっぱい”への無垢なる興味を恥ずかしげもなくさらけ出す様は爆笑の連続だが、大人への通過儀礼としては相当ほろ苦い。
スクールカーストに父親の失態、友達のヒミツetc…。
そこから明るい未来は見えないだろう。
だがラストで主人公は、勇気を振り絞って現状を変えようとする。
自分の足で強く生きねばならぬのだという足立監督が主人公に託した親心は、今を生きる多くの人たちの胸にも響くに違いない。

この短評にはネタバレを含んでいます
なかざわひでゆき

14歳の中学生男子は頭の中も下半身も悶々とするもんです

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 舞台は1987年。田舎町の小さなビデオレンタル店で人気AV女優のサイン会があるとの噂を聞いた、中学生男子たちの一夜のドタバタ騒動が描かれる。
 どうでもいいようなバカバカしいことに情熱を傾ける。そんな思春期の少年特有のメンタリティを温かい視線でユーモラスに捉えていく。ま、中学生男子にとってエッチはバカバカしいどころか、いろいろな意味で最重要案件だけどね。
 と同時に、狭い地域社会に感じる息苦しさや大人への反発、将来への不安などが丁寧に織り込まれ、全体的にはシビアな要素も強い。頭の中も下半身も両方が悶々(笑)。そんな悩み多き中学時代を思い出す人も多いかもしれないなあ。

この短評にはネタバレを含んでいます
森 直人

性欲とアイデンティティ

森 直人 評価: ★★★★★ ★★★★★

爆笑、熱狂、号泣。気持ちの入り方が尋常ではない。脚本作『百円の恋』『お盆の弟』と快進撃を続ける足立紳にとっても「一生に一度」級の隠し玉と言える強力な監督デビュー作。相米慎二門下の彼だが、むしろ井筒イズムに近い正攻法でVHSやビー・バップ・ハイスクール全盛な1987年夏の思春期模様を全面展開する。

童貞四人組の日常生活の冒険は『スタンド・バイ・ミー』に近いが、スクールカーストへの批評性は『桐島』の逆張りか。やがて「限りなく無所属」な者への応援歌として超エモいテンションにのぼりつめる。メインの新人男子達、やたら生っぽい不良女子役の浅川梨奈、「かっこ悪い父」を演じきる光石研など関係者全員に拍手を!

この短評にはネタバレを含んでいます
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