雨の日は会えない、晴れた日は君を想う (2015):映画短評
雨の日は会えない、晴れた日は君を想う (2015)ライター2人の平均評価: 3.5
17年ぶりの親子喧嘩も泣かせる。
今回も行き場を失った主人公の再生物語をガッツリ魅せる、ジャン=マルク・ヴァレ監督作。しかも、ジェイク・ギレンホールとクリス・クーパーが『遠い空の向こうに』以来、17年ぶりに親子役(今回は義理)で共演し、またも衝突する展開が泣かせる。散りばめられたシニカルな笑いや一人の子供の存在など、『永い言い訳』との共通項は多いが、主人公が自分の心を“解体(原題)”するため、身の周りの世界を“解体”していく隠喩もあることから、本作の方が一枚上手。覚えにくい邦題は若干損しているかもしれないが、本編を観た後なら、しっかり胸に刺さります。ちなみに、秘密を抱えた少年を演じるジューダ・ルイスは、今後ブレイク必至!
現代人の虚無感を映し出すアメリカ版『永い言い訳』
突然妻を交通事故で失ったエリート銀行マン。悲しいはずなのに泣けない。何の感情も湧き上がらない。自分は妻を本当に愛していたのか。大きな壁にぶち当たった主人公が、ある親子との交流を通じて喪失感から立ち直っていく。西川美和監督の『永い言い訳』と酷似する点も多い作品だ。
言うなれば、無自覚なまま社会の歯車となった現代人が、愛する者の死をきっかけに人間性を取り戻す話。そのために、彼は順風満帆だが退屈な日常を徹底的に破壊し、人生を一から再構築しようとする。言わんとすることはよく分かるのだが、それゆえストーリーの流れが全体的に出来過ぎているような印象を受けることも否めない。