退屈な日々にさようならを (2016):映画短評
退屈な日々にさようならを (2016)「小さな映画」の、とっても大きな傑作
年内は限定公開だが、2016年の重要な一本だと思う。ワンレベル更新した今泉力哉の傑作だ。舞台は東京と、登場人物の故郷である地方の町。後者は震災の被害が大きく、放射能の影響も濃い所。その示し方はさりげなく、慎ましく。やがて142分、生と死が親密に溶け合う大きな世界像が不思議な時間感覚で醸成されていく。
今泉の描く日常の人間模様はサークルという言葉が似合うが、小さなコミュニティの成立要因に対する批評性こそが彼の肝だろう。もしここに生活を脅かす外的危機が介入すれば、極めてリアルな社会派になる、との論旨を筆者は語った事がある。今作はそのアンサーだと勝手に受け取った。カネコアヤノの音楽も素晴らしい!
この短評にはネタバレを含んでいます