真白の恋 (2016):映画短評
真白の恋 (2016)真っ白な雪のように美しく繊細な、地方発インディーズ映画の佳作
風光明媚な富山県の港町を舞台に、軽度の知的障害を持った女性・真白の淡い初恋と、彼女を守らんがために過剰な反応してしまう家族とのすれ違い、地域の人々との暖かな触れ合いなどを丁寧な筆致で描いていく。
冬の富山の幻想的な大自然や古き良き端正な街並みを捉えたカメラワークの美しさもさることながら、厳しさやほろ苦さを交えつつも、大らかな優しさで人々の営みを見つめていく坂本欣弘監督の視点が素晴らしい。
端役を含めた役者陣の素朴で自然な演技も、近年の日本映画の中では特筆すべきもの。監督の瑞々しい語り口と相まってリアルな生活の息吹を感じさせる。地方発インディーズ映画のスタンダードとなること必至の佳作だ。
この短評にはネタバレを含んでいます