ラプチャー 破裂 (2016):映画短評
ラプチャー 破裂 (2016)ライター2人の平均評価: 3
苦手意識の向こう側…
監禁・拷問モノだけに、『ホステル』なノリを期待しそうだが、そこは『ハードキャンディ』の脚本家とおしゃれとエロ、そして狂気のバランスが絶妙なスティーヴン・シャインバーグ監督が組んだ本作。やや意識高めで、衣装やセットなど、50年~60年代に量産されたB級SF映画の影響が随所にみられる(ベタに『シャイニング』オマージュもアリ)。クモ嫌いはさておき、思いのほか視覚的にどギツイシーンはないので、グロ描写が苦手な人でも大丈夫だ。既成のジャンルムービーを2本強引に繋げた、ある意味ピコ太郎の「PPAP」みたいな展開に関しては賛否両論ありそうだが、それが不快感をより際立たせているといえる。
"破裂"がキーワードの心理ドラマにも見えてくる
"ラプチャー"は、サブタイトルの"破裂"という意味で、中にあるものが何かを破って外に噴出する系"破裂"のイメージ。物語のキーワードはこれ。ヒロインが、スカイダイビングをして自分の意識を変えたいという、一種の"破裂"願望を抱いているという設定が、あとからじわじわ効いてくる。
彼女の拉致監禁犯たちの目的は何なのか、彼女はどうやって逃亡を試みるのか、2つのドラマが同時進行。さらに監禁犯役の俳優たちがクセモノ揃い。怪優ピーター・ストーメア、「GOTHAM/ゴッサム」でも強面のマイケル・チクリス、マイク・リー監督作常連のベテラン女優レスリー・マンヴィルの顔が並ぶと、それだけで異常事態が出現する。