身体を売ったらサヨウナラ (2016):映画短評
身体を売ったらサヨウナラ (2016)挑発的なタイトルとは裏腹の軽やかさと清々しさが魅力
AV女優だった過去を暴露され、大手新聞社をクビになった女性の実話なわけだが、その題材や挑発的なタイトルから社会告発型のフェミニズム映画を連想すると、いい意味で期待や予想を裏切られるだろう。なんというか、非常に軽やかで清々しいのだ。『愛の新世界』にも似た印象を残す。
いわば、セックスを通して人間や社会を考察し、女としての生き方を探求し、自身の本質と向き合っていく女性のエクスペリメンタルなマインド・アドベンチャー。随所に挿入されるAV関係者や風俗嬢のインタビューが価値観の多様性を浮き彫りにする。知性と透明感と大胆さを兼ね備えた女優・柴田千紘の好演も、ヒロインの人間像に真実味を与えて魅力的だ。
この短評にはネタバレを含んでいます