枝葉のこと (2017):映画短評
枝葉のこと (2017)たぶん今年の映画でいちばんゴロッと生々しい
『魅力の人間』でPFFアワード2012準グランプリ。あれから何年だよ! 異能・二ノ宮隆太郎がようやく渾身の長編を撮った。推薦コメントで山下敦弘監督が「初期・北野武映画」を例に出しているが、本当にそう。あの歩行のリズム。ザキヤマ系の本人を映しているだけで、音楽一切なしの画面がこれだけ持つのは驚異的。
「重さ」を中心に、「軽さ」は脇に(クズな会話は相変わらず秀逸)。優しい不肖の放蕩息子にして、まだ終わっていない労働者にして、ある無名作家の鬱屈は、苛立ちの青春を過ごした者なら痛いほど染みるに違いない。不器用が反転した乱暴さと、面倒臭いほどの繊細さで、極私的な焦燥からひとつの普遍にタッチしている。
この短評にはネタバレを含んでいます