食べる女 (2018):映画短評
食べる女 (2018)ライター2人の平均評価: 3
楽しい女子会に参加した気分になりました
一軒家で暮らす作家トン子を軸に人生に迷っている女たちの物語が綴られるのだが、「こういう人、知ってる!」と大いに納得の女性が次々に登場。「私は安いひき肉」と自虐したり、ストーカー?と不安になるような女性も登場するが、それぞれが着地点を見つける過程には過剰なドラマはなく、「ありそう」と思わせるのがいい。胆力の原点として描かれる料理もすごく美味しそう。なによりも気に入ったのは、女優たちの台詞回しがとても自然なこと。人気女優の競演だが、座長の小泉今日子のムード作りが巧みだったと思わせ、楽しい女子会に参加したような気分になる。それにしてもキョンキョンは本当に上手に年を重ねているな〜。
なぜか女優たちのパートナーの顔が浮かぶ
食を通して、コミカルに生も性も描く群像劇という点から、『タンポポ』が思い浮かぶが、どちらかといえば、“「セックス・アンド・ザ・シティ」風味の『かもめ食堂』”に近い。ここまで主演級の女優が集まると壮観だが、劇中でまったく男扱いされない勝地涼と結ばれた前田敦子だけじゃなく、彼女たちの新旧パートナーの顔がハッキリ思い浮かんでしまうキャスティングは何かの狙いなのか? 手堅いながらも、やはりオールドスクール感が漂う生野慈朗監督の演出のなか、ここでも目を引くのはユースケ・サンタマリアのつかめない芝居。それにしても、壇蜜のホラー演技に加え、眞木蔵人の枯れ具合は予想外にスゴかった。