乱世備忘 僕らの雨傘運動 (2016):映画短評
乱世備忘 僕らの雨傘運動 (2016)ニュースで報道されなかった若者の記録
撮影当時27歳だったチャン・ジーワン監督がデモ隊に入り、カメラを回した79日の記録。となると、真の普通選挙を求めた香港人の「雨傘運動」の全貌を描いているように思えるが、副題が示すように、あくまでも十代や学生の目線の記録に過ぎない。テント村の自習室で英語無料教室が開催され、あわよくば口説こうとする輩もいる。確かに日本のニュースで報道されなかった一面ではあるが、最初に彼らを煽動していった大学関係者や活動家の姿はほとんど描かれておらず、決定的な瞬間も捉えていない。彼らの功績が忘れられた時期の日本公開は有難いが、3時間近い尺で描いた『革命まで』に比べ、やはり薄味の印象が強い。
この短評にはネタバレを含んでいます