ラストレター (2019):映画短評
ラストレター (2019)ライター2人の平均評価: 4.5
堂々たる「岩井美学」の横綱相撲
『Love Letter』に対するアンサー映画だけに、前作『リップヴァンウィンクルの花嫁』のような着地点が見えないヤバさはないが、横綱相撲ともいえる安定感に圧倒される。これだけキャラが強いキャストが集まっても、しっかり「岩井美学」の中で生きているのだ。女々しい男たちに対し、凛々しい女たちだが、松たか子演じるヒロインが図書館勤務してるだけでもジワるのに、豊川悦司と中山美穂を“あの役”にキャスティングしてしまう監督の性悪さも健在。広瀬すずをも喰ってしまった森七菜の透明感は、本作最大の収穫といえるだろう。岩井監督が先に撮ったジョウ・シュン主演による『中国版』も早く公開してほしいところだ。
岩井俊二版アベンジャーズ
あの『ラブレター』への監督自身による返歌ともいえる作品。弔いから始まり、現代と過去が交互に描かれ、混線気味な手紙のやりとりなどなどニヤリとさせられるエッセンスで詰まっています。
福山雅治や広瀬すず、神木隆之介、森七菜などの新顔もいますが、主なキャストは岩井俊二作品で名前を見たことがある面々。さらに音楽・主題歌プロデュースが小林武史ということで、岩井俊二監督ベスト盤、岩井俊二監督版アベンジャーズと言った趣もあります。
女々しさを兼ね備えた男のロマンティックなドラマを堪能できます。