サッドヒルを掘り返せ (2017):映画短評
サッドヒルを掘り返せ (2017)ライター2人の平均評価: 4
映画のチカラはひとつじゃない!
『続・夕陽のガンマン』に対するファンの熱烈な愛情が生んだ奇跡の物語。映画愛をたどったドキュメンタリーとして、まず面白い。
ロケ地を再建しようとする熱意の結集、そこで行なわれる記念イベント、そして起こる奇跡。『続・夕陽のガンマン』のファンのみならず、ひとつの映画をとてつもなく好きになったことのある人なら、この展開に感涙必至。
興味深いのは、ロケ地再現のプロジェクトを一本のドキュメンタリー映画にしようとしたスタッフの熱意の方。もし、彼らがカメラを回さなかったら、クライマックスの奇跡は起きただろうか? 映画のチカラが、そんな部分にも垣間見えて、これまた嬉しくなる。
マカロニ西部劇ファン必見の異色ドキュメンタリー
セルジオ・レオーネ監督の傑作マカロニ西部劇『続・夕陽のガンマン』。そのクライマックスで三つ巴の決闘場所となった「サッドヒル墓地」の発掘・修復作業を捉えたドキュメンタリーだ。撮影用のセットがそのまま放置されていたのは驚きだが、スペインの広大な荒原のど真ん中でおぼろげな面影を残す場所を発見した瞬間の感動、土や草を掘り起こしていくうち石畳の円形セットが次第に姿を現す興奮は筆舌に尽くしがたい。そして、欧州中から集まった大勢のボランティアによって復元が完了したとき、映画の作り手とファンの魂が50年の時を経て一つとなり、万感の想いが胸に去来する。イーストウッドやモリコーネのインタビューも必見。