屍人荘の殺人 (2019):映画短評
屍人荘の殺人 (2019)ライター2人の平均評価: 4
「金田一少年」風ミステリーからの超展開
前作『任侠学園』では空回り気味だった木村ひさし監督の演出だが、今回は「賭ケグルイ」に匹敵する怪演を魅せる浜辺美波ら、若手中心のキャストと脚本家・蒔田光治とのコラボで、「金田一少年の事件簿」テイストを踏襲することに成功。しかも、タイトルが舞台となる「紫湛荘」からのモジりであるように、生ける屍パニックという超展開に突入。密室モノとしての緊迫感に欠け、矢本悠馬の芝居がモノ足りない!といった難点もあるが、“念仏の鉄”ばりのレントゲン写真でのグロ描写処理などもあって、幅広い層が楽しめる変化球ミステリーに仕上がっている。このメンツなら、続編「魔眼の匣の殺人」も期待できる!
映画オリジナルパートに注目
ある大仕掛けの部分については口外法度なので触れませんが・・・。
実に映画的というか、ある種の映画文化に根差した原作ということもあって、映画化にもぴったりでした。
程よいポップさとその中に隠された本格ミステリーとしての要素のバランスが絶妙です。
そして、映画版『屍人荘の殺人』で一番、うならされたのが、原作にはないある映画オリジナルの追加部分。“いよいよ事が起こる”という直前のごく些細なシーンですが、これによりもう一人のホームズもまた非凡な才能の持ち主であることがわかる仕掛けになっています。
そして、浜辺美波のコメディエンヌぶり。もう安心して見られますね。