マックイーン:モードの反逆児 (2018):映画短評
マックイーン:モードの反逆児 (2018)ライター2人の平均評価: 4.5
天才を発掘するのは天才自身である
デザイナー映画のなかでも突出してエキサイティングな作品。高校中退の太っちょ少年リーがいかにしてファッション界を席巻するデザイナーとなり、自ら命を絶ったのかにぐいぐい迫る。本人インタビューや彼をよく知る人々の証言でつまびらかにされる、マックイーンの知られざる側面は、ファッショニスタでなくても興味深いはず。奇抜ファッションで知られるインフルエンサー、イザベラ・ブロウは彼を見出した一人だが、ショーや作品の映像を見れば天才を発掘するのは天才自身であると納得するはず。METやV&Aで行われた回顧展に足を運べなかったファンにとっては、コレクション総まとめを目にできる貴重な機会となる。
歴史に残るショーとその裏側を見られる
「Jack the Ripper Stalks His Victims 」(切り裂きジャックが彼の犠牲者に忍び寄る)、「The Highland Rape」など衝撃的なタイトルのファッションショーを展開したマックイーン。画期的なショーそのものを見ることができ、さらにそんなテーマを掲げた彼自身の思いを聞けるのが、最高の醍醐味。ワーキングクラスに生まれた彼がどうやってジバンシィのデザイナーに就任するまでになり、自分のブランドと両立させていったのか。その裏には暗い部分もあり、それが自殺につながるのだが、そこをもっと深く知りたかった気もする。