初恋ロスタイム (2019):映画短評
初恋ロスタイム (2019)ライター2人の平均評価: 3
今後の成長が楽しみな吉柳咲良の演技力
いわゆる「時間停止」(本作ではロスタイムと呼ばれる)を題材にしたSF的な青春ラブストーリー。毎日決まった時間に自分以外の全てが静止するという奇妙な現象を体験するようになった少年が、そのロスタイムの世界で知り合った少女(彼女もまた自由に動くことが出来る)と恋に落ちる。そつなく仕上げられたティーン向けラノベ映画という印象で、ロスタイムの理由も含めて中盤からの「意外な展開」もわりと想定の範囲内だろう。ヒロイン役の吉柳咲良はなかなかの好演で、10代の少女らしい愛らしさに大人びた鋭い表情を覗かせてドキッとさせられる。これからの成長が非常に楽しみな女優だ。
ポスト高畑充希が放つキラキラ感
同じ「ピーターパン」女優の映画デビュー作&ホリプロの先輩共演ということで、高畑充希でいうところの『ドルフィンブルー フジ、もういちど宙へ』にも近い拾いモノ感アリ。透明感溢れる吉柳咲良の演技力は、『天気の子』の凪先輩の声でも実証済みであり、『ホットギミック』のチャラ男が別人にしか見えない草食系すぎる板垣瑞生との相性も悪くない。一見、『君に読む物語』的ギミックと思わせながら、見事に裏切る展開も、前半のモヤモヤとした疑問点の伏線回収の巧さもなかなか。青春映画独特のキラキラ感や泣きの演出など、『ニセコイ』『かぐや様』では完全に影を潜めていた河合勇人監督の職人技も随所に光っている。